
終活という言葉が一般的になり、残された家族に負担がかからないように取り組む人が増えてきました。
超高齢化社会となり、元気に活動される高齢の方が多く生活しています。
もし自分が介護を必要としたら、もし親の介護が必要になったらと考えたことはあると思います。
しかし介護のイメージがしづらい、まだ元気で介護の必要はないし、先の話だと感じる人が多いように感じます。
介護に対する制度も複雑であり、わかりにくい現状があるのも事実です。
この記事では介護活動(介活)の必要性について説明していきます。
介活とは何か
介活とは将来必要となる介護に備え、元気なうちから情報収集や準備する活動のこと。
介護活動の略称です。
介護の不安を解消し、自分らしい生活や親の尊厳を守るため、知識を得て、介護サービスの手配や環境整備を前もって進めることが目的となります。
介活のポイント
・現状の把握と将来の準備
・知識と選択肢の確保
・コニュニケーション
・経済的な蓄え

自分または親の現在の健康状態や生活習慣を知ることから始めましょう。
いつ介護が始まっても対応できるように、現状把握は重要です。
介護保険制度や利用できるサービスを理解しましょう。
知らないことへの不安から、偏見や思い込みでサービスを拒否する方がいるため、まずは自分で調べて知ることが大切です。
自分または親がどこで、誰に介護されたいのかを家族と話し合っておくことは大切です。
介護は突然やってくることが多いため、前もって意思表示しておくことでスムーズに介護サービスに繋げられます。
介護にかかる費用や助成金、給付金などについて調べておくことで、介護に備えられます。
介護が始まってから慌てるのではなく、事前に情報を集めておくことで選択肢が広がり、本人と家族の負担が減ります。
親の介護の不安はどんなものがあるのだろうか
40代・50代になってくると親の介護について不安が出てきます。
この年代は仕事と家庭での責任が増大する一方で、自分の老化を実感し始める時期でもあります。
キャリアの成熟期となり、セカンドライフの準備が始まる時期となります。
その中で親の介護がのしかかってくると考えるとどうでしょう。
不安がより大きくなってしまいますよね。
実際に、仕事と介護の両立・経済的負担・介護保険の知識不足が不安の8割を占めています。

仕事と介護の両立
40代・50代の仕事面における特徴は、即戦力と組織の調整力・マネジメント力が強く求められることです。
管理職やチームをまとめる役割など、仕事での責任がのしかかってくる時期でもあります。
仕事にやりがいを感じ、新たな自分のキャリアを築くことも考える時期ではないでしょうか。
そこへ親の介護が入ってくることで仕事に集中できない、仕事で思うような結果を出せないなど、仕事面での挫折につながってしまう。
責任感も強く周りに頼れない、迷惑をかけてしまうくらいなら離職して介護に専念した方が良いのではと考えてしまい、介護離職を選択してしまうケースもあります。
それだけ、仕事と介護の板挟みになってしまうことへの心配が多いようです。
経済的不安
介護にかかる費用がいくらなのか、予想ができない。
施設に入る場合はいくらかかるのか。
いつまで介護が続くかわからないため、介護にかかる費用の見通しが立たない。
仕事を制限せざるを得ないことで収入源が減ってしまう。
上記の不安があるのではないでしょうか。
介護するにあたり、介護費用だけではなく治療費もかかります。
元気なうちは病院に通わなくてもよかったが、介護するようになると思わぬ病気が見つかり、通院しなければならなくなることが多いです。
親の蓄えだけで介護と医療の両方を賄えるのか。
子どもである自分たちが援助しなければならないのか。
今は物価高であり、自分たちの生活も苦しいと感じることが多い中で親の介護費まで面倒を見る余裕がないということが正直なところではないでしょうか。
介護保険の知識不足
年齢を重ねていけば行くほど介護を意識していきます。
親の介護はほとんどの方が通る道といっても過言ではありません。
介護の大変さはよく耳にするが、漠然としており、イメージがつきにくい。
そのため、見えないことへの恐怖が大きいです。
介護保険制度など介護に関する制度や介護サービス・施設など介護を支える仕組みは多く、私たち看護師ですら全てを知っているわけではありません。
医療関係者でも介護関係者でもない人が介護の仕組みに対して知識がないのは当たり前です。
現在はインターネットによりいろいろな情報が飛び交っているため、良い情報もあれば悪い情報もあり、どの情報を信じて良いのかわからない状態も不安を大きくしている要因なのかもしれません。
なぜ40代・50代で親の介護不安を感じ始めるのか
40代・50代ですと、親の年齢は70〜80歳くらいではないでしょうか。
親の老化や病気のリスクが現実味を帯びる時期と子世代の仕事の責任が増大することやライフイベントが重なる時期。
そのため、将来の見通しが立たない、介護によって自分の人生が崩れるのではないか、親がいつまで元気でいてくれるのかわからないなどの不安が大きくなってくる時期です。

不安が大きくなる主な理由
主な理由は4つあります。
親の健康リスクの急増
高齢による衰えに加え、総卒中や骨折などのアクシデントが多くなります。
また、認知症の発症リスクが高まる年齢に差し掛かる時期です。
これらの要因は要介護の原因として非常に多い。
仕事・キャリアへの直撃
40代・50代は働き盛りの時期です。
職場での責任が重く、仕事と介護の両立が極めて困難になります。
急な呼び出し、長期的な介護休暇が自分のキャリアにどう影響するのかが大きな懸念となります。
経済的負担の増大
住宅ローンの支払いや子どもの教育費など、自分自身の出費がピークとなる時期です。
そこの親の介護費の負担が加わることで生じる経済的プレッシャーが不安を大きくさせます。
体力・精神的な限界の予見
実際の介護による身体的・精神的負担の大きさを想像し、自分が体力的に耐えられるのか不安を感じる。
親が歳をとるということは、自分も歳をとっているということです。
自分の身体の年齢とともに老いているため、若い時のような体力がないと実感することも少なくありません。
その中で介護は重労働と言われるくらい体力を使うため、体力的に耐えられるのか不安にあることは当たり前です。
認知症による親の性格の変貌などにより、心にないことを言われてショックを受けることは多いです。
1度や2度ならまだ耐えられるが、何回も続くことが多いため、精神的な負担が多くなり、鬱になってしまったなどの話をよく聞くことで不安が大きくなります。
介護不安の正体

介護不安の大きな原因は先が見えないことへの不安、正解がわからないことへの不安、自分の人生が壊れることへの不安です。
先が見えないことへの不安
将来の見通しが立たないことが、介護不安の中で最も大きいことではないでしょうか。
- 親世代のみでの生活、親の一人での生活はいつまでできるのか
- 自分がどこまで関わることになるのか
- 自分の仕事や生活にどんな影響が出るのか
終わりの見えないことほど人の不安が大きくなり、最も疲れさせます。
介護は大変そうという感情よりは先が見えないことへの恐怖が不安の増大につながるのです。
正解がわからないことへの不安
情報社会の現在、情報はあふれています。
・病院に頼るのか
・介護サービスを使うことが良いのか
・筋力維持するためにはどんな運動するのが良いのか
・デイサービスはいつから行けるのか
情報が多すぎることで何が正解なのかわからず、そのまま時間だけが過ぎてしまうことが不安へとつながります。
実際にインターネットで調べて、病院などで教えてもらったことを実行してみたが、親にあっているのかわからないなどの話はよく聞きます。
会う、会わないは人それぞれです。
ほとんどの人が手探りで行っているのが現状であり、正解がないと言われていることが要因となっています。
自分の人生が壊れるかもしれない恐怖
親・子・仕事・自分の全てを背負う世代です。
- 仕事で一番責任が重い時期
- 子どもの教育への資金が必要
- 自分の老後資金をどうしようか考え始める時期
- 親の介護が必要になり、自分のキャリアが止まってしまうのではないかと考え始める時期
一気に色々なことを考えなくてはならず、不安が増強し、板挟み状態となってしまうのです。
介護は突然始まるものなのか
よく介護は突然始まるものという話を耳にします。
本当にそうなのでしょうか。
確かに元気に過ごしていた人が、突然骨折や脳卒中を発症してしまい、介護が必要となったと聞けば、突然やってくると考えてしまいます。
しかし、骨折や脳卒中が発症する前に何らかの体のサインが現れているのがほとんどです。
何か違和感がある
まだ元気で過ごせているが、以前と何かが違うと感じたことはありませんか。
まだ介護が必要な状態ではないけれど、何かが変だ。

- 歩くスピードが昔よりも遅くなった
- 立ち上がりが遅くなった
- といどきふらつきながら歩いている
- 最近怒りっぽくなった
この小さな違和感が、介護不安の始まりとなります。
そのため、そろそろ介護について考えなくてはと考え始める時期でもあります。
介護は人の手を借りて日常生活を送らなければならない状態が介護であると思われがちですが、日常生活が自分で送れるが、見守りが必要である時点で介護が必要な状態です。
早めにやっておくべきこと
どんなに介護予防に取り組んでいても、介護が必要になる可能性は誰にでもあります。
身近な人に介護が必要になった時のために、事前に行っておく5つのことを紹介します。

相談できる機関を把握しておく
介護が必要となってから相談しに行くのは遅いです。
なぜなら、相談に行って初めて介護に必要な手続きや書類の作成、介護認定調査など様々な手続きで時間を要してしまうからです。
どこへ相談に行けばいいのかわからないという壁にまずあたります。
市役所に行けば教えてはくれますが、市役所には色々な課があるため、場所を転々と移動する羽目になり、時間の無駄です。
介護に関しては地域の包括支援センターが窓口となります。
各市区町村に設置されていますが、市役所内にあるとは限りません。
前もって場所や連絡先を把握しておくと、必要な時にすぐに動けて安心です。
地域包括支援センターでは介護の全般的な相談や介護認定の申請代行も行っているため、活用すると手続きが楽です。
まだ介護が必要であるわけではないけれど、そろそろ考えないと行けないと感じた時に一度相談に行くことはありだと思います。
窓口でまだ対象ではありませんと言われてしまうかもしれませんが、それでも介護についても相談は受けてくれますし、一度顔を合わせており、知らない人ではなくなるため、少しは安心できます。
介護サービスについて知っておく
介護を一人で行おうとすると、心身に大きな負担となります。
よくニュースで介護疲れにより無理心中などの話を聞きます。
介護するということは、それだけ大きなストレスがかかってきますが、なかなかストレスを発散できないのが現状です。
日本では介護を支援するための公的介護保険制度が整っています。
以下のような介護サービスがある。
- デイサービス
- デイケア
- 訪問介護サービス
- ショートステイ
介護サービスにはそれぞれ特徴が異なるため、介護サービスの基本的な内容だけ確認しておくと、いざ介護が必要になった時に役に立ちます。
介護施設もたくさんあります。
以下のような施設があります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護付き有料老人ホーム
- サービス付き高齢者住宅
施設にも入所にあたり基準があるため、入所したい施設へ入所できるとは限りません。
施設の特徴を確認しておくことは必要です。
また、費用のことも気になりますよね。
費用の相場は、次のとおりです。
- 公的施設で月額5〜15万円程度
- 民間施設で月額15〜30万円程度
ただし、入居一時金や別途オプション代などの費用がかかることもあり、施設によって違いがあるのが現状です。
参考までに、下記グラフは介護に要した費用です
生命保険文化センターの調べでは、介護の導入にあたり、一時的な出費は平均47万円、月々9万円の出費があります。

本人の意思を確認しておく
話し合いにくいことではありますが、一番大切なことです。
本人と落ち着いて話ができる時に、介護についての意向を聞いておくと良い。
排泄や入浴などの手助けが必要になった場合、誰に手助けをして欲しいのか、介護利用時の費用はどのお金を使用するのかを明確にしておくと、安心です。
面と向かって確認すると、まだ介護を必要としていないのに不快に感じる方も多いため、雑談の中で少しずつ聞いていくのが良いでしょう。
周りの人の介護の話やニュースを見ていて、介護に関する情報が流れたときなどは絶好のタイミングではないでしょうか。
本人の意思が明確になっていない状態で介護が始まってしまうと、本人の思いより家族の意向が大きく反映される傾向にあります。
家族の負担を軽くするためには家族の意向が大きく反映されてしまうことは仕方がありませんが、本人と家族に大きな溝ができてしまうことも確かです。
なるべく本人と家族の意向に沿った方法で介護を導入していくのが、お互いに溝ができず、良い関係でいられるため、それぞれの思いを伝え合っておくことも大切でしょう。
頼れる相手を確認しておく
介護の負担を一人で抱え込むことは身体的にも精神的にも負担となります。
身近な人の介護が必要になった時に、頼れる人を確認しておくことで必要以上に介護の負担を抱え込まないで済む。
家族や兄弟、親戚、近所の人など周囲のサポートを上手く活用することで、負担はかなり減ると思います。
特に兄弟や親戚のサポートは、心身の負担だけでなく、経済的な負担も軽減できる可能性があります。
兄弟や親戚とはあらかじめコミュニケーションをとっておき、介護になった場合のことを相談しておくと、介護をきっかけとしたトラブルを防げます。
介護を主で行うのは誰なのか、費用の負担はどうするのか、在宅で介護するのか、施設に入れるのか、窓口は誰にするのかなどは介護が始まってからではトラブルとなる原因となりますので、あらかじめ決めておくと良いでしょう。
しかし、現在は兄弟が少ないことや、近所付き合いがないことなどの問題もあります。
そのような時は、在宅支援センターやケアマネジャーなど介護をサポートしてくれるところへ相談しましょう。
勤務先の制度を確認しておく
要介護者の通院や急な体調変化などで仕事を休まなくてはならないケースがあります。
そのような時、仕事をしている場合は困ることがあるのではないでしょうか。
介護と仕事を両立するために、介護に関する制度を設けているかを勤務先に確認しておくと良い。
要介護状態にある家族を介護する労働者のための制度としては、一般的に介護休暇と介護休業があります。
介護が始まってからだと、慌ただしい生活の中で申請方法などを詳しく確認する余裕がない場合があるかと思います。
前もって制度を把握しておくことが大切です。
介護休暇と介護休業の違いはなんでしょうか。
同じように見えますが、取得する目的が違います。
| 介護休業 | 介護休暇 | |
| 目的 | 長期的な介護体制の構築、介護の専念のために取得 | 病院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせなどの突発的な対応のために取得 |
| 取得できる期間 | 通産93日まで 最大3回まで分割取得が可能 | 年間5日まで 対象家族が2人以上の場合は10日まで |
| 取得できる単位 | 1日単位 | 時間単位での取得も可能 |
| 給付金の有無 | あり(賃金の約67%が支給させる) | なし(有給・無休は会社の規定による) |
介護予防できることはあるのか
介護が必要な状態になることを防ぐことはできるのでしょうか。
完全に予防することは難しいですが、ある程度遅らせることは可能です。

図の3つは生活に取り入れやすい方法です。
生活習慣を整える
介護予防において重要なポイントとなります。
まずは生活のリズムを整えることが大切です。
特に睡眠時間を取ることを意識しましょう。十分な睡眠は心身の疲労回復効果があります。
栄養バランスの良い食事を心がけましょう。栄養バランスを整えることで筋力低下や感染症のリスクが軽減できます。
口腔ケアも大切です。誤嚥性肺炎を防ぐためには口腔内を清潔に保つことが大切です。
運動習慣を取り入れる
運動不足は骨や筋肉の動きが低下して骨折や転倒のリスクが高まります。
この骨や筋肉の動きの低下による転倒がきっかけで要介護になることが多いです。
ウォーキングなどの有酸素運動、ストレッチなど、日頃から体を動かす習慣を作ることが大切です。
意識するとできないことも多いですよね。
家事の合間やテレビを見ているときなど、ながらストレッチも良いでしょう。
他者との交流や趣味を楽しむ
趣味やスポーツを楽しんだり、他者との交流を持つことは生きがいにつながり、脳を若々しく保つ効果がある。
地域のサークルやボランティアなどのゲームをしたりすることもおすすめ。
社会の一員として日々を過ごすことでうつや認知症のリスクが下げられます。
介護するにあたり伝えておきたいこと
厚生労働省や公的機関の調査の結果、介護期間の平均は、約4年7ヶ月〜5年1ヶ月とされています。
生命保健文化センターによる調査では、4年以上にわたり介護を続けている人は全体の4割を占めているというデータもある。

下記のグラフが示す通り、日本は超高齢化社会です。
平均寿命も男女ともに世界1位の長寿国。
健康寿命はどうでしょうか。
健康寿命も世界1位です。
健康寿命とは、心身ともに自立し、健康上の問題で日常生活が制限されることなく、元気に生活できる期間のことを言います。
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平均寿命と健康寿命を比較すると、男性は8.5年、女性は11.6年の差があります。
この平均寿命と健康寿命の差の期間は、医療や介護が必要になる可能性が高い期間となります。
平均寿命-健康寿命が介護期間と考えると、介護の平均期間は男女によって異なりますが、男性は8.7年、女性は12年となります。
女性は平均寿命が長いため、期間も長くなる傾向にあります。
介護する期間は人それぞれ違います。もっと長くなることもありますし、短い場合もあります。
このように、介護する期間は先が見えないということです。
絶対に一人で抱え込まないということが一番大切なこと。
家で介護するのか施設に入るのかは人それぞれ考え方が違うため、家族間で話し合っておく必要はあります。
また、介護に対する限界点は人によって違います。
介護を続けることでストレスが溜まりやすくなります。
深夜の介護もあり、睡眠不足になることもあるでしょう。
介護するには体力が必要です。膝や腰に大きな負担がかかってしまうことも多いです。
介護に協力してくれる人がいなかったり、周りに相談できる人がいなかったりと、介護者が全てを抱え込んでしまうことも多いです。
介護者を見守らなければならないなど、自分の自由時間がなくなる、ストレスを発散することもできない状態になり、さらにストレスが蓄積し、心身ともに疲弊してしまいます。
介護する側も介護される側も双方幸せになるために介護と上手く付き合っていくことが大切です。
無理すると共倒れになってしまいます。
まとめ
介護不安は誰もが感じることであり、一人で抱え込むものではありません。
気づいた時が行動を起こすタイミングといえます。
介護サービスを受ける状態ではないとしても、知識として知っておくことは大切です。
いずれその知識が役に立つ時が来ます。
まだ早いと考えるのではなく、将来のために介護知識の貯金しているのだと考えると良いでしょう。
そして何より、一人で抱え込まず相談できるところを確保しておくことは必要なことです。


